BECの定義【備忘録】
 Bose原子集団を考える。高温極限では個々の波動関数の位相はランダムであり、位相の平均値はゼロとなる。低温極限(=転移温度以下)では位相がある決まった値を取り、その結果U(1)ゲージ対称性が自発的に破れ粒子数が非保存となる。(=コヒーレント状態となる。)これがBose-Einstein-Condensate(=BEC)状態である。

 このようなU(1)ゲージ対称性を破ってBECの位相を導入する方法は便利ではあるが、概念的な困難を伴う。例えば容器に閉じ込められた液体ヘリウム4を考える。原子は日常のエネルギースケールでは生成したり消滅したりしないので原子数は確定しており、原子数が異なった状態の重ね合わせは禁止されている(超選択則)。したがって場の演算子の期待値はゼロとならなくてはならないが、BEC状態では明らかにそれを破っている。

 原子のコヒーレント状態を用いて定義されるBECは近似的な概念だが、BECの位相は超流動や量子渦を生み出す基本的な量であるのでこれは不都合である。ゲージ対称性を破らずにBECの位相を導入する方法が非対角長距離秩序(=ODLRO)である。ゲージ対称性の破れは平均場近似の結果現れる見かけのものに過ぎない。
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by dyjobyate | 2009-03-27 08:54 | 備忘録
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