カテゴリ:備忘録( 7 )
ゲージ場【備忘録】
 ゲージ場がちょっと解ってきたのでメモ。
 
 古典電磁気学においてベクトルポテンシャルは電磁場を記述するために補助的な役割を果たしている。しかし量子力学を最初に認めると、ベクトルポテンシャルが電磁場よりも先に導入されてしまう。一般的にベクトルポテンシャルが基本的な場(=ゲージ場)であると考えられている。ゲージ場はディラックの非可積分的位相から直接的に導入できるが、定義はより間接的になされている。

 例えば、あるベクトルポテンシャルで記述できる系が大局的ゲージ変換(=空間の各点によらない変換)に対する不変性を持っていたとする。この系は局所的ゲージ変換(=空間各点による変換)に対しては一般には変わってしまう。ここで不変性を持たせるために導入する場(この場合は電磁場)がゲージ場で、この場合には位相変換に対する不変性で記述されているためU(1)ゲージ場と呼ばれる。
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by dyjobyate | 2009-07-29 00:02 | 備忘録
素励起【備忘録】
 「マクロな物体のあらゆる弱い励起状態は、量子力学においては個々の素励起の結合と見なすことができる。これらの素励起は、物体によって占められた体積の中を動き、ある運動量とエネルギーを持つ準粒子のように振る舞う。素励起の数が十分少ないうちは、相互作用を考える代わりに、ある理想気体ように考えられる。」(byランダウ)

 多体問題を扱う上でこれまでに様々な工夫が行なわれてきた。中でも有名な手法は、着目している粒子以外を自己無撞着場として取りこみ、独立な粒子に着目して解を導出し、そこからSlater行列などを用いて多体問題にアプローチをする方法である。また、第2量子化を用いての記述は非常に有効で、いったん規格直交系をなす近似解が得られれば、より高次の摂動論の取り扱いへ応用できる。

 しかし、第2量子化だけではなく、素励起という概念も多くの理論家によって利用されている。これは相関を持つ多体系の複雑な運動をそのまま素直に受け入れて、それを基底状態から考え直していこうとする立場である。
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by dyjobyate | 2009-07-26 22:17 | 備忘録
KT転移【備忘録】
 【3次元の相転移】
 He4は零点振動によりT=4.2[K]まで液体にならない。さらに冷却するとT=2.17[K]で比熱に飛びが見られる。このとき系の対称性が破れ超流動体(イメージは摩擦のない液体)が発現し、さらに温度を下げていくことでその割合が増していく。絶対零度では超流動成分のみが存在するようになる。

 【2次元の相転移】
 2次元ではどのような振る舞いを見せるであろうか。T=4.2[K]近傍で比熱にピークを持つが、ゆらぎのために超流動への転移はできない。一般に低次元系では量子ゆらぎが効いてくることが知られているが、果たして超流動体は存在できるのであろうか。

 相転移が起こるときには系の対称性が破れて長距離秩序が形成される。3次元系では相関関数が定数になり長距離秩序の存在が示されるが、2次元系では相関関数はべき乗で減衰(=準長距離秩序)してしまい長距離秩序は持たない。しかし、長距離秩序を持たないからと言って相転移が起こらないわけではなく、トポロジカル励起によって相転移が引き起こされる場合がある。KosterlitzとThoulessはトポロジカル励起による相転移には渦の励起が重要となることを示した

 トポロジカル励起とはオーダーパラメターが連続的に分布している中でオーダーパラメターをいかに連続的に変形させても取り除けない(トポロジカルに安定な)欠陥の生成である。温度が上がっていくと、トポロジカル電荷が±1の最もエネルギーの低い欠陥対が生成され束縛状態が形成される。ある温度で束縛状態が壊れ欠陥が単独で動き回れるようになり、その点で相転移が起こっていると理解できる。この流れをKT転移を呼んでおり、Bose液体やXYスピン系、2次元固体で起こることが知られている。
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by dyjobyate | 2009-05-27 23:03 | 備忘録
Landau's criterion【備忘録】
 超流動状態の安定性の判定基準の1つにランダウの判定条件(Landau's criterion)がある。超流動体中を運動する不純物が抵抗なしで動ける条件(=超流動体が不純物によって励起されない条件)を考えると、超流動体を励起するための不純物の最小速度(=臨界速度)を求めることができる。不純物の速度が臨界速度よりも小さければ、超流動体中の抵抗なしに運動することできる。

 しかし、現実の容器の壁は原子スケールの凹凸があり、この場合にLandau's criterionを利用することはできない。これはあくまでも単純な物体の運動に対する超流動性に対する条件と考える必要がある。
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by dyjobyate | 2009-04-08 14:35 | 備忘録
BECの定義【備忘録】
 Bose原子集団を考える。高温極限では個々の波動関数の位相はランダムであり、位相の平均値はゼロとなる。低温極限(=転移温度以下)では位相がある決まった値を取り、その結果U(1)ゲージ対称性が自発的に破れ粒子数が非保存となる。(=コヒーレント状態となる。)これがBose-Einstein-Condensate(=BEC)状態である。

 このようなU(1)ゲージ対称性を破ってBECの位相を導入する方法は便利ではあるが、概念的な困難を伴う。例えば容器に閉じ込められた液体ヘリウム4を考える。原子は日常のエネルギースケールでは生成したり消滅したりしないので原子数は確定しており、原子数が異なった状態の重ね合わせは禁止されている(超選択則)。したがって場の演算子の期待値はゼロとならなくてはならないが、BEC状態では明らかにそれを破っている。

 原子のコヒーレント状態を用いて定義されるBECは近似的な概念だが、BECの位相は超流動や量子渦を生み出す基本的な量であるのでこれは不都合である。ゲージ対称性を破らずにBECの位相を導入する方法が非対角長距離秩序(=ODLRO)である。ゲージ対称性の破れは平均場近似の結果現れる見かけのものに過ぎない。
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by dyjobyate | 2009-03-27 08:54 | 備忘録
磁性【備忘録】
●強磁性(Ferromagnetism)
隣り合うスピンが同一の方向を向いて整列し、全体として大きな磁気モーメントを持つ。室温で強磁性を示す単体の物質は鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウムの4種類。

●常磁性(Paramagnetism)
外部磁場が無いときには磁化を持たず、磁場を印加するとその方向に弱く磁化する。熱ゆらぎによるスピンの乱れが強く、自発的な配向が無い状態。強磁性や反強磁性を示す場合でも、ある温度以上になるとスピンは互いにでたらめの方向を向くようになって常磁性を示す。この温度をキュリー温度(強磁性)、ネール温度(反強磁性)という。

●反強磁性(Antiferromagnetism)
隣り合うスピンがそれぞれ反対方向を向いて整列し、全体として磁気モーメントを持たない。金属イオンの半数ずつのスピンが互いに逆方向となっている。

●フェリ磁性(Ferrimagnetism)
結晶中に逆方向やほぼ逆方向のスピンを持つ2種類の磁性イオンが存在し、互いの磁化の大きさが異なるために全体として磁化を持つ
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by dyjobyate | 2009-03-20 08:18 | 備忘録
ボーズ凝縮相の有限温度理論【備忘録】
 1947年 Bogoliubovが弱く相互作用するボーズ粒子系を考察。(T=0
 1958年 励起場のグリーン関数を用いた摂動展開が開発され、以下の事が示された。
        ●個別励起は低エネルギーでギャップを持たない。(※)          
        (=Hugenholtz-Pinesの定理)
        ●全ての個別励起モードは集団励起にも現れる。 
 1959年 Hartree-Fock-Bogoliubov理論(=有限温度BECに関する平均場理論)
        ※に反して、準粒子対相関によるエネルギーギャップが出現。
 1964年 ギャップレス励起を持つ有限温度理論(⇒準粒子相関をゼロとする)が提案。
        ※を満たすが、自己無撞着な平均場理論としての整合性を欠いている。
        また、動的問題に適用できない。
 1965年 厳密な理論の持つ性質として新たな条件を加える。
        ●動的保存則を満たす。
        「保存近似」「ギャップレス近似」の観点から既存の理論を整理。
        これらは共に正確な理論と矛盾する固有の欠点を持っている。
 200X年 保存則とゴールドストーンの定理(=ギャップレス励起)を満たす理論登場。

 今後の課題は、場の量子論的手法を正準集団に拡張すること、らしい。今やっている研究テーマは有限温度系でもなくダイナミクスを調べたりもしていないが、この辺は知っておかなくては。
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by dyjobyate | 2009-03-10 23:50 | 備忘録